女性が活躍できる職場を目指して その2


女性にやさしい職場。

子育てのしやすい職場。

マタハラの起こらない職場。

 

女性であっても働きやすい職場を目指し、出産や育児などのライフイベントにも柔軟に対応できる職場を目指しましょう。

そういう職場でなければ、これから、御社に優秀な人材は集まらなくなります。

 

前回お話してきたのは、男女平等に扱いましょうというお話。

ここからお話するのは、「働く女性」に対してのみ適用される法律のお話です。

 

 

(第12条)事業主は、妊娠中の女性労働者が母子保健法の規定する保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。

 

妊娠した女性は、定期的に健康診査を受ける必要があります。

(母体とお腹の赤ちゃんを守るためのものです)

健康診査を受けるための時間を会社に申請してきたときは、勤務時間中であっても、その健診の時間を確保しなければなりません。

ただし、この健診の時間を無給にするのはO.K.です。

 

また、健診の結果、主治医から、勤務時間の短縮や勤務の軽減、休業などの指導を受けた場合には、会社は適切に対応する必要があります。(第13条)

「母性健康管理指導事項連絡カード」を使って、主治医から会社へ指示が伝達された場合にも、その指示内容に応じた措置をとらなくてはなりません。

会社は、妊娠中の女性とお腹の赤ちゃんに優しくなければいけません。

 

これらは、たとえ御社の就業規則に書かれていない事項であっても、きちんと対応しなければなりません。

「うちの会社には、そんな規定はない」という理屈は通りません。

正社員だけでなく、パートさんでも派遣さんでも、妊娠中の女性労働者であれば皆、この12条、13条の「母性健康管理の措置」を受けることができます。

 

でも、このあたりのことは、「トラブルを未然に防ぐため」にも、「法令をしっかり遵守している会社であると従業員に印象づけるため」にも、また「女性に優しい会社であることをアピールするため」にも、就業規則にきちんと明記することをオススメします。

 ここからお話しするのは、男女雇用機会均等法9条の「マタハラの禁止」についてです。

 

(第9条の1)事業主は、女性従業員が結婚や妊娠、出産したことを退職理由として予定する定めをしてはダメです。

 

(第9条の2)事業主は、女性従業員が結婚したことを理由に解雇してはダメです。

 

(第9条の3)事業主は、女性従業員が妊娠・出産や産前産後休業を取ったことなどを理由に、解雇や不利益な取扱いをしてはダメです。

 

(第9条の4)妊娠中の女性や出産後1年以内の女性従業員に対して行われた「解雇」は無効!

ただし、事業主が、その解雇が結婚や妊娠・出産などが理由ではないことを証明したときは、解雇が認められる場合もあります。

 

 

要は、女性従業員が、結婚や妊娠・出産したことや、その時に認められている休業や業務の制限等の権利を行使したことで、解雇やその他の不利益な扱いをしてはいけません。

 

また、育児介護休業法では、育児休業を取ったり、育児のための短時間勤務を希望したことで、不利益な扱いをすることを禁止しています。

 

 

ちなみに、「不利益な扱い」ですが、当然「解雇」だけではありません。

パートさんや契約社員さんですと、「雇止め」や「契約更新回数の引き下げ」なども含まれます。

 

正社員だった女性を「契約社員」や「パート」とするような場合も、不利益な扱いになります。

「降格」や「減給」も、もちろんダメ!

ボーナスの査定や人事考課で、不利益に扱うのもダメです。

 

 

また、この「不利益な扱い」を行う理由を、本人の成績不良や会社の経営不振等の理由にすり替えても、その事実を会社側が客観的に証明しなければ、

「妊娠や出産などが理由で、不利益な扱いをしたんでしょ!」ということになります。(法違反と判断されます)

 

では、法違反を犯して、不利益な扱いをすればどうなるのか?

その場合には、行政指導が行われます。

それでも言うことを聞かない会社は、会社名が公表されます。

 

2015年9月に、「マタハラ公表」第1号となった茨城県の牛久皮膚科医院(安良岡勇院長)は、マスコミでも大きく報道されました。

それによって、様々な批判や誹謗中傷が行われたようです。

院長である安良岡勇氏の写真や経歴などがネット上には飛び交い、かなり厳しい社会的な制裁を受けたと思われます。

 

また、会社名の公表だけでなく、被害者から、損害賠償請求の裁判を起こされる場合もあります。

 

 

来年の1月1日からは、「マタハラ防止措置」を実施することが、事業主に義務付けられました。

どのようなことを行わなければならないか、既に指針が出されています。

この指針に従って、「マタハラ防止措置」を実行していく必要があります。

事業規模に関係なく、すべての事業主に実施義務があります。

 

「マタハラ防止指針」の内容については、マタハラ防止措置ページをご覧ください。