事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策②


2017年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置を実施しなければならなくなりました。

では、一体何を行えばよいのか?

今回は、その内容についてお話していきます。

 

まず知っておいていただきたいのが、この「マタハラ防止措置」は、すべての事業主が実施しなければならないということ。

すべての事業主ということは、従業員数万人の大企業はもちろんのこと、従業員数名の中小零細企業から個人事業主まで、すべての会社・事業主に実施義務があります。

 

 

では、何を実施するのか?

「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。

 

1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発

2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

5.併せて講ずべき措置

 

以上5つのことを行う必要があるのですが、これって、どこかで聞いたことありませんか?

・・・「わかった人、スルドい!」

4.を除く、4つの項目については、「セクハラ防止措置」として実施すべき項目と同一です。

 

ですから、「セクハラ防止措置」をちゃんと行っている会社では、今までの「セクハラ防止措置」と同様の内容の措置を、マタハラについても実施すればよいだけです。

 

「セクハラ防止措置」の実施は義務なので、本当はすべての会社で実施されているはずですが、もし御社で「セクハラ防止措置」を実施していないということであれば、「マタハラ防止措置」と併せて、実施を検討してください。

 

 

では、まずはじめに、「マタハラ」とは何か? というお話から。

 

この防止措置で言う「マタハラ」の定義はこうです。

「職場において行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育休等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されること」

 

具体的には、上司や同僚が、

「育休を取るなら辞めてくれ」

「男のくせに育休取るなどありえない」

「妊婦はいつ休むかわからないから、重要な仕事は任せられない」

などの発言や、

妊婦や短時間勤務者に、仕事や仕事上必要な情報を与えないなどの嫌がらせ行為を行うのが、ここで言う「マタハラ」になります。

 

来年1月からは、上記のようなマタハラ行為を防止することが義務化されます。

 

もともと、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いを、事業主が行うことは違法行為として禁止されています。

今回は、それだけではなく、上司や同僚が行うマタハラを防止することも義務付けられました。

それが、事業主に義務付けられるマタハラ防止措置。

その5つの項目をこれから順番にお話していきます。 

1.事業主の方針の明確化とその周知・啓発

 

TOPのメッセージ

まず、TOP自ら、従業員に向けてメッセージを発信しなければなりません。

マタハラ・セクハラは絶対にあってはならない、絶対に許さないというTOPの決意を、従業員に周知・啓発していかなければなりません。

(TOP自らマタハラや不利益取扱いを行うなど、問題外!

そのようなコンプライアンスや時代感覚が欠如した人間がTOPに居座っているような会社に、未来なんてないっしょ!)

さらには、妊娠・出産・育児に関する様々な制度の利用ができることも、従業員に周知していかなければなりません。

 

TOPが直接に発信する機会があれば、もちろん、それがベストです。

しかし、1回きりでは、なかなか従業員に浸透していかないんですよ。

そこで、いろいろな手段を使って、従業員に会社としての方針を伝えていく必要が出てきます。

 

とにかく、ハラスメントが起こらない職場風土を作り上げるために、繰り返し訴えていくことが必要です。

TOP自ら率先垂範し、従業員からの「信頼貯金」を貯めていきましょう。

地道で根気がいることかもしれませんが、ハラスメントが起こらない職場風土を作り上げることで、御社で働く人誰もが活き活きと安心とやりがいを持って働くことができます。

それが、女性活躍やダイバーシティにも繋がっていくのです。

 

 

就業規則や社内報への記載

具体的には、事業主の方針等を就業規則の服務規律等に定めておくべきです。

(ハラスメントに関する規定を別途作ってもO.K.)

特に、ハラスメントを行った従業員に対しては、厳正に対処することを就業規則に明記しておいてください。

また、ハラスメントを行った場合の罰則も、懲戒規定に明記することを忘れずに!

※就業規則に定めがなければ、懲戒処分を科すことはできません。

懲戒処分の該当項目は、新しい状況・新しい時代に応じて、常に見直しをしていく必要があります。

該当項目の記載がないと、懲戒処分できませんからネ。

 

さらに、社内報や自社ホームページ等にも、会社の方針を記載するとよいでしょう。

 

研修や講習

従業員に対して、マタハラ・セクハラ防止のための研修や講習を行うことも効果的です。

その場合、1度限りではなく、定期的に行うことが有効です。

また、管理職向け講習や一般従業員向け講習など、職階別に分けて行うのがより効果的です。

 

 

以上のようなことを行っていくのが、

「1.事業主の方針の明確化とその周知・啓発」に関する実施内容です。

 

次回は、「2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」についてお話していきます。