仕事と介護の両立支援制度②


御社独自の、御社の従業員に合った「仕事と介護の両立支援」制度を作ることが出来るかどうかは、御社の死活問題です。

制度しだいで、従業員の定着やパフォーマンスの発揮に大きな影響を与えます。

 

ですが、まずその前に手を付けなければならないことがあります。

それは、法定通りの介護休業や介護休暇制度を、しっかりと就業規則に定めること。

 

これらは、就業規則に定められていて当然。

だって、会社の義務ですから。

法定の介護休業や介護休暇制度は、会社の都合で定めたりするものではありません。

すべての会社が必ず定め、就業規則に記載しなければなりません。

 

にも関わらず、未だに介護休業制度等を定めていない会社が多くあります。

まずは、法定の制度を整備し、御社の就業規則に定めることから始めましょう。

とくに、平成29年1月から、育児・介護休業法が大きく改正されています。

改正内容にあった就業規則になっていますか?

 

 

今回は、法律に定められた「介護休業」制度についてお話していきます。

これは、事業規模に関係なく、すべての会社で導入しなければなりません。

法律で定められたものは最低基準ですので、この法律よりも、従業員にとって有利なものは問題ありません。

ですが、法律を下回るものは許されません。

そして、この「介護休業」制度については、平成29年1月に大きく改正されています。

古いままの制度では、法律の要件を満たしていないことになります。

 

では、一体どのような改正があったのでしょうか?

それは、介護休業が通算93日までを、3回に分けて取ることができるようになったこと。

 

じゃあ、今まではどうだったのか?

基本的には、1回限り、最大93日まででした。

 

それが、法改正によって「通算93日まで、3回を上限として介護休業の分割取得が可能」となりました。

 

 

ところで、介護休業って、そもそも何? 

というところからお話していきます。

介護休業とは、従業員が要介護状態の対象家族を介護するための休業です。

 

いろいろと補足説明が必要です。

 

「従業員」とは、正社員はもちろん、パートやアルバイト、嘱託社員など、ほぼ全ての従業員が当てはまります。

ただし、期間の定めのある労働契約で働いているパートやアルバイトさんなどは、申し込み時点で、1年以上継続して働いている必要があります。

また、契約の更新がないことがハッキリしている方は、介護休業を取れない場合があります。

さらに、「入社1年未満の従業員」や「週の所定労働日数が2日以下の従業員」なども、労使協定を結べば、介護休業を取得させなくてもO.K.です。

 

次に「要介護状態の対象家族」について。

「対象家族」とは、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫となります。

※同居や扶養などの要件は必要ありません(法改正事項)

 

では、「要介護状態」とは、どのような状態をいうのでしょう。

それは、「2週間以上、常時介護を必要とする状態」をいいます。

実際には、介護認定で「要介護2」以上の人が該当します。

ただ、まだ介護認定を受けていない人でも、一人で歩くことができない、一人でトイレができない等の判断基準が示されており、その判断基準に従って判断することができます。

 

 

また、過去に介護休業を取ったことがある人はどうなるのか? という問題もありますが、この辺のことは結構ややこしいので、個別で問い合わせたほうが良いと思います。

問い合わせ先は、毎度おなじみ、各都道府県労働局の雇用環境・均等部へどうぞ。

 

 

それにしても、93日って短くない?

実は、介護休業の目的は、家族を介護することではないのです。

(介護は、平均で約5年続くといわれています。93日介護したからといって、どうにかなるものではありません!)

 

介護休業を使って、その間に、家族の介護をする体制を整えるのが目的です。

介護サービスの申込みや介護施設への入所のための手続きや準備期間として利用するための休業です。

「仕事と介護の両立」のための体制を作るための期間です。

会社は、従業員に対して、この「介護休業」の意味をしっかりと伝えていく必要があります。

 

また、3回に分割して取れるようになったのは、介護の始まりの時期と見取りの際、そして、その間にも1回取れるようにとの配慮です。

 

この介護休業を上手に使って、「仕事と介護の両立」を実現していきましょう。

 

会社は、「仕事と介護の両立」を支援していくことで、大切な従業員が辞めていくという最悪の事態を防ぐことに努めていきましょう。