仕事と介護の両立支援制度①


家族の介護のために仕事を辞める、いわゆる「介護離職者」は年間10万人を超えています。

この介護離職者の数は、年々増加傾向にあります。

また、働きながら家族の介護を行っている人の数も、約240万人といわれています。

御社も、他人事とは言っていられません。

今のうちから、社員の「仕事と介護の両立」のために御社が何を行うべきか、きちんと考えておくべきでしょう。

 

 

75歳を過ぎると、介護を必要とする人が急速に増加します。

親が75歳ですと、その子供たちは40~50歳代が中心です。

40歳代・50歳代といえば、管理職や中核的社員が多く占めているのではないでしょうか?

 

そのような御社にとって重要な人材が、突然、介護のために離職してしまったらどうしますか?

 

「今まで、介護休業を希望した社員など1人もいなかった」

「社内に、親の介護をしている社員はいない」

「部下から、介護にまつわる相談を受けたことがない」

だから、我が社は大丈夫!介護離職など有り得ない!

そんなふうに思っていませんか?

 

その考え、甘いですよ! 甘あまです!

 

たとえ今現在、介護を行っている社員がいなかったとしても、いつ、御社の社員が介護に直面するかわかりません。

要介護認定者の数は600万人を超え、それは65歳以上の約18%にのぼります。

これだけの人が介護を必要としていて、御社の社員だけが介護に直面しないなど有り得ないことです。

40歳代以降の多くの社員が、介護に直面する可能性を抱えているのです。

 

 

また、たとえ介護を行っていても、社員は、会社にその事実を告げるとは限りません。

相談して来ないことのほうが多いかもしれません。

理由はいろいろあります。

昇給や昇格にどのような悪影響があるかわからず言い出せない人。

有給休暇を利用したり、配偶者等に介護を行ってもらっている人もいます。

外部のサービスを利用して対応している人もいるでしょう。

相談する先がなかったり、上司や同僚に話せる職場の雰囲気ではないから言い出せない人もいます。

また、男性の中には、家族や個人のことを職場に持ち込むべきでないという考えを持っている人もいます。

 

どの社員が介護を行っているのか、会社が把握することはとても難しいのです。

社員自ら言い出すことは期待できません。

会社に介護の事実を告げる時は、すでに退職を決めた後ということも多くあります。

 

 

また、たとえ介護離職をしなくても、仕事と介護の両立によって、社員の疲労は蓄積します。

それが、生産性やパフォーマンスの低下につながります。

介護期間は平均で5年、長い場合には10年を超えることもあり、先行きや見通しが立てにくいことも、精神的・肉体的疲労を蓄積させます。

 

 

もうそろそろ、社員の「仕事と介護の両立のための支援」に真剣に取り組むべきではないですか?

仕事と介護の両立支援は、御社にとっての経営課題、危機管理の1つではないでしょうか?

 

法定の介護休業制度等の整備だけでは足りません。

公的介護保険制度を利用してもまだ足りない。

やはり、企業としての両立支援の取組みが不可欠なのです。

 

御社の優秀な働き盛りの中核社員や管理職に、きちんと成果を上げてもらい、間違っても、介護離職で人材を喪失することがないように、御社の取組みが重要な鍵を握っているのです。

 

では、どのような取組みを行っていけば良いのでしょう?

何から手を付ければよいのでしょう?

 

そのあたりのことは、次回から詳しくお話していきます。