事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策④


2017年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置を実施しなければならなくなりました。

では、一体何を行えばよいのか?

今回も、その内容についてお話していきます。

 

では、何を実施するのか?

「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。

 

1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発

2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

5.併せて講ずべき措置

 

 

今回は、「3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」についてお話していきます。

 

職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

ハラスメントがあったと被害者から訴えがあった場合、速やかに事実確認を行います。

被害がまだ続いている場合や、さらにエスカレートしそうな場合には、特に迅速な対応が必要です。

そのためにも、あらかじめ対応の手順などを定めておくことが重要です。

 

ハラスメントの事実があったと確認できた場合には、行為者と被害者の関係改善に向けての手助けや行為者の謝罪、被害者のメンタルケア等を行う必要があります。

場合によっては、行為者と被害者を引き離すための配置転換や、行為者への懲戒処分も必要です。

 

 

会社側のもっともマズイ対応は、個人間の問題だととらえ当事者同士の解決に委ねようとしたり、それぐらいではハラスメントにならないだろうと問題を軽く考えたり、問題を無かったことにしようと秘密裏に処理したり、被害者をクビにしたりすることです。

 

このような対応は絶対にしてはいけません。

問題がこじれるだけで、何の解決にもなりません。

マズイ対応は問題を大きくするだけです。

一つ、裁判例を紹介します。

「福岡出版社事件」(福岡地判 平成4.4.16)

この事件は、男性上司と女性従業員の間で、ハラスメント発言等によるトラブルが発生した際に、使用者が、「個人的な問題」として適切な職場環境調整をせず、最終的には女性従業員の退職によって事態の収拾を図ったものです。

 

この裁判で、使用者に対して「職場環境を調整するよう配慮する義務を怠り、主として女性従業員の譲歩・犠牲において職場関係を調整しようとした点において、不法行為性が認められる」とされました。

 

会社がすすんで適切に対処していかなければ、不法行為として損害賠償責任が発生する場合があるということです。

また、裁判になったという事実をみても、このような対応は、問題をこじらせるだけである事がわかっていただけると思います。

 

被害者が望む解決法の把握

また、被害の訴えがあった場合には、被害者がどのような解決を望んでいるのか、正確に把握することが重要です。

被害者の望んでいる解決法を、必ず実施しなければならないわけではありませんが、なるべく要望に沿った解決を選択していくとよいでしょう。

 

被害者が望む主な要望として、以下のようなものがあります。

話を聴いて欲しい

言動をやめて欲しい

謝罪をして欲しい

行為者との接点をなくして欲しい

行為者へ注意・警告して欲しい

行為者を懲戒処分して欲しい 等々

再発防止に向けて

このような被害の訴えがあった場合には、再発防止の観点から、あらためて、

「1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」を徹底していくべきです。

TOP自ら、ハラスメントは絶対に許さないということを発信していきましょう。

また、全従業員を対象に研修やセミナー等を実施して、ハラスメントに対する意識の啓発を図っていくべきです。

 

 

ハラスメントは、起こさないに越したことはありませんが、残念ながら起きてしまった場合には、迅速かつ適切に対応し、今起こっているハラスメントの解決に全力を尽くすべきです。

そして、そのようなハラスメントが二度と起こらないよう、再発防止に努めましょう。

 

再発防止のためには、既に起こってしまったハラスメントの分析も重要です。

人が問題なのか? 

環境やシステムが問題なのか? 

過去の研修内容はどうだったのか? 

従業員の意識はどうなのか?

考えるべきポイントはたくさんあります。

 

 

 

以上が、「3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」について、御社が行うべきことになります。